CHM - キャノピーハイトモデルの定義
CHM(Canopy Height Model、キャノピーハイトモデル)は、地表面から樹冠頂部までの高さを表現する3次元デジタルモデルです。主にLiDAR(Light Detection and Ranging)技術を用いて、航空機やドローンから取得した点群データを処理することで生成されます。森林の構造把握、バイオマス推定、環境監視など、様々な分野で重要な役割を果たしています。
CHMの技術的原理
LiDAR データの取得と処理
CHMの生成プロセスは、まずLiDARセンサーが地表面および樹冠を含む全ての物体に対してレーザーパルスを照射します。返信されたシグナルから点群データが作成され、各点に対して正確な3次元座標(X、Y、Z)が記録されます。
この点群データから、DEM(Digital Elevation Model、デジタル標高モデル)とDSM(Digital Surface Model、デジタル表面モデル)の2つのモデルを生成します。DEMは地表面の標高を、DSMは樹冠頂部を含む最も高い物体の高さを表します。CHMは両者の差分(DSM - DEM)として計算されるため、樹冠高さの正確な値を得ることができます。
空間解像度と精度
CHMの空間解像度は通常0.5メートルから5メートル程度であり、取得するLiDARシステムの性能や飛行高度に依存します。高い精度が必要な場合は、[GNSS受信機](/instruments/gnss-receiver)を併用してLiDARシステムの位置情報を補正することで、より正確なモデル生成が可能です。
測量における応用分野
森林資源調査
CHMは森林の樹高分布を可視化し、林分構造の評価に使用されます。樹冠高さの統計情報から、森林のバイオマス量やカーボンストック推定が可能です。特に広大な森林域の効率的な調査に適しており、従来の地上調査と組み合わせることで信頼性の高いデータが得られます。
都市計画と環境監視
都市緑地管理やアーバンフォレストリーにおいて、街路樹や公園の樹冠高さの監視に活用されます。時系列データとして複数時期のCHMを取得することで、樹木の成長動態や環境変化を追跡できます。
災害評価
台風や豪雨後の樹木倒伏箇所の把握、地すべり危険区域の植生状況監視など、災害関連の調査にも重要な役割を担っています。
関連機器と技術
CHM生成には、高性能なLiDARセンサーを搭載した航空機やドローンプラットフォームが必要です。多くの測量会社や研究機関では、[Leica](/companies/leica-geosystems)やRiegl、Topconなどの信頼性の高いLiDARシステムを導入しています。処理には専用のGIS(地理情報システム)ソフトウェアやLiDAR点群処理ツールが用いられます。
実践例
日本の林野庁は森林資源管理に航空LiDARとCHMを活用し、全国規模の森林調査を実施しています。また、地方自治体の防災部局では、土砂災害予防のために斜面の樹冠高さ情報をCHMから抽出し、危険地区の指定に活用する事例も増加しています。
まとめ
CHMはモダン測量技術の重要な成果物であり、森林管理から都市計画、災害対応に至るまで、幅広い分野で活用されています。高精度な点群データ処理とGIS技術の発展により、今後さらなる応用拡大が期待されています。